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ネット怪談検証都市伝説

猿夢
「2ちゃんねる初出」の1年前にあった投稿

夢の中の無人駅に、遊園地のお猿さん電車のようなものが入ってくる。乗ると、アナウンスが流れるたびに、後ろの席の乗客から順に殺されていく。ネット怪談「猿夢」は、2000年8月に2ちゃんねるの有名スレッドに書き込まれたのが始まりだと語られてきた。けれど、インターネット・アーカイブに残るページをたどると、ほとんど同じ文章が、その1年以上前に別の投稿サイトに載っていた。猿夢はどこから来て、どう「名作」になり、どう増えていったのか。残っている記録だけで組み立て直す。

文 未確認生物研究所 編集部公開 2026年10月6日約12分で読めます出典 16件
運転台の窓ごしに、線路が続く先のトンネルの入口が見える
CC BY 2.5関門トンネルへ入っていく列車の前面展望(福岡県北九州市・門司側)。猿夢の電車も、駅を出るとすぐトンネルへ入っていく。撮影:Takasunrise0921。CC BY 2.5。 / Wikimedia Commons

この記事の要点

  • 通説の初出は、2000年8月2日に2ちゃんねるの「洒落怖」初代スレへ3回に分けて書き込まれた話。まとめサイトの保存ページで日時を確かめた
  • ところが、ほぼ同じ文章が「1999年5月15日」の日付で、投稿サイト「ALPHA WEB こわい話」に「恐怖のアナウンス」として載っていた。機械で比べると約96%が一致する
  • 洒落怖の外部サイト「投票所」では、2002年に1位、最終結果でも2位。2003年には「続き」を名乗る話が現れ、読んだ人も同じ夢に呼ばれる、という設定が加わった
  • 実在した上野動物園の「おサル電車」や明晰夢など現実との接点はあるが、話そのものが体験の記録だと確かめる手段はない

01夢の中の、お猿さん電車

まず、どんな話かを短く確かめておく。語り手は、自分が夢を見ていると気づいている。薄暗い無人駅に一人でいると、乗るとひどい目にあう、という意味の分からない構内放送が流れ、遊園地にあるお猿さん電車のような乗り物が入ってくる。乗り込むと、電車はトンネルに入る。そして「次は〇〇です」という車内アナウンスのたびに、後ろの席の乗客が、その名前どおりのやり方で殺されていく[1][4]。

アナウンスが告げる言葉は「活けづくり」「えぐり出し」「挽肉」。自分の番が近づいたところで、語り手はどうにか目を覚ます。何年かたって同じ夢の続きが始まり、最後には、次に来たら終わりだという声を聞く。話は、次にあの夢を見たら現実の自分も死ぬだろう、という覚悟で終わる[1]。

この記事では、元の話の文章は書き写さない。匿名の書き手の作品だからだ。扱いたいのは話の中身ではなく、この話が「いつ・どこに」現れ、どう読まれ、どう増えていったかという記録のほうである。

その記録をたどる前に、一つ断っておく。猿夢の最初期の記録は、どれも今は閉じたウェブサイトにあった。この記事で使う一次資料の多くは、インターネット・アーカイブ(Wayback Machine)が保存したページだ。保存された日付と、ページに書かれた日付は別のものなので、本文ではできるだけ両方を書く。

無人駅の暗い待合室から、窓の外の明るい緑を見た写真
CC BY 3.0無人駅の待合室から見た外の景色。話の始まりは、夢の中の薄暗い無人駅だ。撮影:ESU(2010年)。CC BY 3.0。 / Wikimedia Commons

021999年5月、投稿サイト「こわい話」

猿夢は、2ちゃんねる(現在の5ちゃんねる)のオカルト板で生まれた話として知られている。日本語版Wikipediaも、2000年8月2日に「死ぬほど洒落にならない怖い話を集めてみない?」の初代スレッドに書き込まれたものだと説明している[9]。ところが、それより前の記録がある。

1990年代の終わり、ネットには読者の体験談を集める「怪談サイト」がいくつもあった。インターネットのニュースサイト「INTERNET Watch」は、1998年7月の夏向け企画で、そうしたサイトを紹介している。その中に、プロバイダーのALPHA WEBが運営していた「こわい話」があった[3]。

一般読者から投稿された「恐い話」が149話収録されている。

このサイトの保存ページの中に、「恐怖のアナウンス」という題の話がある。題のすぐ下には、投稿者の肩書と日付と性別が、次のように添えられている[1]。

(会社員/1999年5月15日/男性)

中身は、のちに「猿夢」と呼ばれる話そのものだ。無人駅、お猿さん電車、後ろから3番目の席、紫がかった明かりのトンネル、三つのアナウンス、4年後の再来、最後の声。筋も細部も、言い回しまでほとんど同じである[1]。

2001年11月に保存された「251話〜300話」の一覧ページでも、「恐怖のアナウンス」は「1999年05月15日」「会社員(30代男性)」として載っている。前後には1999年5月の日付の話が新しい順に並んでいて、日付だけが浮いているわけではない[2]。

032000年8月2日、洒落怖の初代スレへ

2ちゃんねるのほうを見てみる。民俗学者の廣田龍平によれば、オカルト板の「死ぬ程洒落にならない怖い話を集めてみない?」(通称「洒落怖」)は、2000年8月の初めに立てられた[7]。

このスレは、文字通りきわめつけに「怖い話」を収集することを目的として二〇〇〇年八月初頭に立った

当時のスレッドそのものは、今は読めない。代わりに、洒落怖の話を集めていた外部の「まとめサイト」の保存ページが残っている。それによると、猿夢は初代スレの9番目・12番目・13番目の書き込みとして、2000年8月2日の朝7時3分から11分までの8分ほどの間に、3回に分けて投稿された。名前欄は2回目が「まだつづくぞ!」、3回目が「これで最後だ」だった[4]。

この3つの書き込みを、1999年の「恐怖のアナウンス」と機械で比べてみた。空白を取り除いて文字列の一致率を測ると、およそ96%が同じだった。違うのは、冒頭の「いちばん最初の出来事は十数年前、高校生のころだった」という意味の一文がないことと、見出しや区切りだけだ。保存されている範囲では、2ちゃんねるの書き込みに出どころの説明はない[1][4]。

つまり、2000年8月2日の書き込みは「初出」ではなく、1年以上前に別のサイトに出ていた話を、ほぼそのまま貼り付けたもの(転載)だった可能性が高い。書いた人が同じかどうかは分からない。くねくねの元になった話も、別の投稿サイトから洒落怖へ出典なしで貼られたことが分かっている[7]。2000年前後のネット怪談には、こうした「サイトからスレへ」の流れが、ほかにもあったことになる。

確かめられなかった点。Wayback Machine に残る「恐怖のアナウンス」の保存は2003年4月以降で、一覧ページも2001年11月の保存が最古だった。2000年8月より前に保存されたページで、この話そのものを見ることはできなかった。「1999年5月15日」はサイトに書かれた投稿日であり、この記事はそれと一覧の並びを根拠にしている。また、日本語版Wikipediaは書き込んだ人を「高校生〜大学生の女性とされる」としつつ、性別を特定できる情報はないと書く[9]。1999年版の見出しは「男性」だが、これも投稿者の自己申告で、確かめる手段はない[1]。

04「投票所」で1位になった話

洒落怖は人気スレッドになり、話の数はすぐに数百にふくれ上がった。どれが怖いのかを知りたいという声から、2001年に住人の手で外部のまとめサイトが作られ、そこに話ごとに票を入れられる「投票所」が置かれた。廣田は、当時いちばん見られていたのはこの投票所だったと見ている[7]。

猿夢という名前が確かめられる早い例も、この投票所にある。2002年7月28日の保存ページでは、項目名は「猿夢(1)」。かっこの中の数字は、話が載ったスレッドの番号、つまり初代スレを指す。このとき猿夢は286票中40票で1位だった[5]。廣田は、保存ページを拾い集めて順位の動きをこうまとめている[7]。

第一位は「猿夢」(四〇票)であった。

同じ年の10月28日には、590票中57票でやはり1位。投票所は2003年8月に転送量の問題で止まり、最後の集計がそのまま残された[7]。

一位は「たまげた相談」(二四八票)、二位が「猿夢」(二四〇票)で他を圧倒しており

凍結された結果のページでも、2位に「猿夢(1)」の240票が残っている。3位は90票なので、上位2話の差は大きい[6]。投票には短いコメントも付けられた。2002年7月の時点で、1位であることに納得する声や、後半の再来の場面が救いようがない、という声が並んでいる[5]。

「猿夢」という題を誰がいつ付けたのかは、確かめられなかった。1999年版の題は「恐怖のアナウンス」で、2ちゃんねるの書き込みには題がない。遅くとも2002年7月には、投票所で「猿夢」の名が定着していた、というところまでが記録で言えることだ[1][5]。

05続きが生まれ、作品になる

2003年の「続き」

名作として読まれ続けた話には、やがて続きが現れる。2003年5月2日、洒落怖の36番目のスレッドに、猿夢を知っているかと問いかけ、投票所を見れば上位にあるからすぐ分かる、と前置きした長い話が書き込まれた。語り手は猿夢を読んだあと、自分も遊園地から新幹線へと舞台を移した同じ種類の夢を見た、と語る。日本語版Wikipediaは、これを通称「猿夢+」として紹介している[8][9]。

この話には、元の猿夢になかった大事な要素がある。結びの近くで、語り手はこうつぶやく[8]。

あの話自体が、この電車への切符なのかも知れない

元の話では、悪夢は語り手一人のものだった。ここで、話を読んだ人も同じ電車に呼ばれるかもしれない、という仕掛けが加わる。読むこと自体が危ない、という怖さだ。翌日の5月3日には、同じスレッドに「猿夢なんだよ」と断ってから始まる別の夢の話も書き込まれている。猿夢は一つの話から、多くの人が「自分も乗った」と語れる型へ変わり始めていた[8]。

ただし、2003年5月2日の書き込みの名前欄は「コピペ1」となっている。これも別の場所からの貼り付けだった可能性があるが、元の出どころは確かめられなかった[8]。日本語版Wikipediaは、このほか2008年12月の「猿夢エゴマ」、2009年5月の別の体験談も挙げ、新しい殺し方のアナウンスが増えていったと書いている[9]。

資料の事情について。2003年の「猿夢+」は、洒落怖のまとめサイトの保存ページで日時と名前欄を確かめた。2008年・2009年の話は日本語版Wikipediaの記述によるもので、この記事の調査では元の書き込みを確かめられていない。その日本語版Wikipediaの記事には、出典が不十分だという注意書きが付いている[9]。

ゲームとドラマへ

ネット怪談が大量に生まれた時代について、廣田は2024年の著書の「まえがき」で、2000年代を有名な話が次々に生まれた時期として描いている[12]。

二〇〇〇年代のインターネットは、初めのほうに挙げた有名なネット怪談が次々と誕生した時期だった

猿夢も、その時期に掲示板の外へ出ていった。2011年10月に公開されたフリーのホラーゲーム『怪異症候群』(サークル「夕闇の季節」、RPGツクール2000製)は、ネットで人気の都市伝説を題材にした作品で、第3章に猿夢が登場する。夢に現れて対象を夢の中で殺す怪異として描かれ、ひとりかくれんぼ、くねくね、きさらぎ駅などと並んでいる[10]。

テレビ局による映像化もある。テレビ東京のバラエティ番組から生まれたショートドラマ集『ウソかホントかわからない やりすぎ都市伝説 ザ・ドラマ』は、2021年3月26日から動画配信サービス「Paravi」で配信された。その第1話「見てはいけない夢」について、配信元のお知らせはこう書いている[11]。

概要:有名なネット投稿系ホラー「猿夢」を実写化。

日本語版Wikipediaは、ほかに電子書籍の漫画や、2012年にニコニコ動画で発表された初音ミクの曲なども挙げている[9]。ただ、これらはこの記事では確かめられなかった。確かなのは、ゲームでもドラマでも、猿夢が「ネットで生まれた有名な怖い話」として扱われていることだ。1999年の投稿サイトの名前は、そこには出てこない。

06なぜ、これほど怖いのか

猿夢の怖さを支える要素を、現実の側から一つずつ見てみる。

夢だと分かっている夢

語り手は最初から、これは夢だと分かっている。自分の意思で目を覚ませるとも思っている。こうした夢には名前がある[14]。

明晰夢(めいせきむ、英語: Lucid dreaming)とは、夢を見ている間に見ている本人が夢を見ていることに気づくという種類の夢のことである。

明晰夢は、作り話の中だけのものではない。2021年には、アメリカ・フランス・ドイツ・オランダの4つの研究チームが、睡眠中の脳波と目の動きを記録しながら、明晰夢を見ている人に質問を投げかけ、答えを受け取ることに成功したと報告した[15]。

individuals who are asleep and in the midst of a lucid dream (aware of the fact that they are currently dreaming) can perceive questions from an experimenter and provide answers using electrophysiological signals

眠っていて明晰夢(いま夢を見ていると自覚している状態)の最中にある人は、実験者からの質問を受け取り、電気生理学的な信号で答えを返すことができる

睡眠の段階を示すグラフと、脳波・眼球運動の波形。REM睡眠中に「8 minus 6?」と問われ、目の動きで答えている
CC BY 4.0明晰夢の最中の人との「対話」の記録(アメリカのチーム)。上は眠りの深さの移り変わり、下はREM睡眠中の脳波と目の動き。「8引く6は?」という問いに、目を左右に動かして「2」と答えている。出典:Konkoly ほか(2021)。CC BY 4.0。 / Wikimedia Commons

夢の中で「これは夢だ」と分かっていて、しかも出ようと思えば出られる。猿夢の語り手は、その安心を足場にして電車に乗る。話が怖くなるのは、その足場が崩れたときだ。2回目の夢では、念じてもなかなか目が覚めない。明晰夢という、ある程度知られた体験を入り口にしているから、読む人は自分の夢に置き換えやすい。

実在した「お猿の電車」

話に出てくるお猿さん電車には、モデルになりうる実物があった。東京の上野動物園の「おサル電車」だ[13]。

先頭に運転又は飾りのためにサルが座り客を乗せて走る、電車を模したアトラクションであった。

子どもたちを乗せた小さな電気機関車と客車。運転席に猿が乗り、周りに大人や子どもが集まっている白黒写真
PD開業したころのおサル電車(1948年ごろ、上野動物園)。撮影者不明。パブリックドメイン。 / Wikimedia Commons

おサル電車は1948年9月に営業を始め、すぐに人気の乗り物になった。1962年には先頭車が当時開業間近の新幹線に似せた形に改められ、1974年6月30日に廃止された[13]。1999年の一覧で、投稿者は「30代男性」とされている[2]。1999年に30代なら、子どものころは1960年代から70年代にあたり、おサル電車が走っていた時期と重なる。

新幹線の形をした赤い先頭車が、子どもを乗せた小さな客車を引いて、木陰の線路を走ってくる
CC BY-SA 2.0新幹線の形になったおサル電車(1967年5月、上野動物園)。撮影:Roger W。CC BY-SA 2.0。 / Wikimedia Commons

ただし、話の中では「遊園地にあるようなお猿さん電車」と書かれているだけで、上野動物園の名前は出てこない。子ども向けの小さな電車は、ほかの遊園地にもあった。特定の乗り物がモデルだと言える材料はない。言えるのは、子どもが乗る楽しい乗り物という、多くの人に共通する記憶を、死の電車に作り替えたところに怖さがある、ということまでだ。

話の中では、語り手自身がトンネルの景色を、子どものころ遊園地で乗った「スリラーカー」のようだと感じている[1]。暗いレールの上を小さな車で進み、仕掛けの化け物を見て回る、お化け屋敷型の乗り物だ。お猿さん電車とスリラーカー。どちらも、子どもが安全に怖がるための乗り物である。

遊園地の「GHOST TRAIN」の入口。石造り風の門とクモの飾り
CC0イギリス・ブラックプール遊園地の「ゴースト・トレイン」の入口。暗いレールの上を進むお化け屋敷型の乗り物で、日本ではスリラーカーなどと呼ばれた。撮影:Christophe Badoux。CC0。 / Wikimedia Commons

名前のついた殺し方と、はっきりしたルール

ネット怪談の怖さを数で調べた研究もある。認知心理学者の時津裕子は、まとめサイトのランキング上位100話を集め、出てくる要素の組み合わせを統計で分析した。その結果、ネット怪談は二つの軸で4つの型に分けられると報告している[16]。

1軸が,作中で発生する出来事の原因に明確な説明が成り立つかどうか(「ルール明示/ルール不明瞭」)

この研究で猿夢がどこに置かれたのかは、抄録からは分からない。ただ、この軸を借りると、猿夢の作りがよく見える。なぜこの電車が来るのか、誰が運転しているのかは最後まで説明されない。一方で、電車の中のルールは、はっきりしすぎるほどはっきりしている。後ろの席から順番に、アナウンスで予告されたとおりに殺される。自分の番がいつ来るか、数えられてしまう。理由は分からないのに、手順だけは明かされている。そのずれが、目を覚まそうとする場面の焦りを生んでいる。

説根拠評価
2000年8月2日の2ちゃんねるが初出同じ文章が「1999年5月15日」付で投稿サイトに載っていた。一致率は約96%[1][4]否定的
1999年の投稿サイト「恐怖のアナウンス」が元ページの日付と一覧の並びは1999年5月。ただし保存は2001年以降[2]有力
書き手は若い女性1999年版の見出しは「男性」。どちらも確かめる手段がない[1][9]確かめられず
上野動物園のおサル電車がモデル時代は合うが、話には「遊園地にあるような」としか書かれていない[13]確かめられず
読んだ人も同じ夢を見る元の話にはない。2003年の「続き」で加わった設定[8]否定的

07記録として残るもの

記録の上で、猿夢の歩みをまとめておく。1999年5月、プロバイダーの投稿サイトに「恐怖のアナウンス」が載る。2000年8月2日、ほぼ同じ文章が、立ったばかりの洒落怖スレに3回に分けて書き込まれる。2001年にまとめサイトと投票所ができ、遅くとも2002年には「猿夢」の名で1位になる。2003年には、読んだ人も呼ばれるという「続き」が現れる。2010年代以降は、ゲームやドラマの題材になった[1][4][5][8][10][11]。

くねくねでは、投稿者が元の怪談と自分の体験を「混ぜた」と断っていた。猿夢では、そうした断り書きさえ見当たらない。出どころを書かずに貼られた話は、貼られた場所の話として記憶される。猿夢が「2ちゃんねる発」と語られてきたのは、話の力というより、まとめサイトと投票所という、2ちゃんねるの外の仕組みが、その場所を名作の棚として固定したからだろう[7]。

そして、その仕組みのおかげで、日付も記録も今に残った。閉じたサイトのページを、アーカイブが黙って保存していた。猿夢の「本当の始まり」は、夢の中の無人駅ではなく、1999年のある投稿フォームに打ち込まれた一つの話だった。そこまでは、記録でたどることができる。その話が本当に誰かの見た夢だったのかどうかは、どこにも記録されていない。

出典・参考資料

  1. ALPHA WEB「こわい話」より「恐怖のアナウンス」(会社員/1999年5月15日/男性)。Internet Archive の2004年12月14日保存版. http://web.archive.org/web/20041214112915/http://www.alpha-web.ne.jp/fun/kowai/kowai_340.htm(閲覧 2026-10-06)↩
  2. ALPHA WEB「こわい話 251話〜300話」一覧ページ。Internet Archive の2001年11月29日保存版. https://web.archive.org/web/20011129162900/http://www.alpha-web.ne.jp/alpha/forum/Fun/Kowai/0front/0250.htm(閲覧 2026-10-06)↩
  3. INTERNET Watch「【集中企画】こわーい話の特集」インプレス, 1998年7月30日. https://internet.watch.impress.co.jp/www/article/980730/kaidan.htm(閲覧 2026-10-06)↩
  4. 2ちゃんねる「死ぬ程洒落にならない怖い話を集めてみない?」まとめサイト(kowai.sub.jp)の洒落怖1・9〜13のページ。Internet Archive の2003年6月20日保存版. https://web.archive.org/web/20030620184812/http://kowai.sub.jp:80/1/009.htm(閲覧 2026-10-06)↩
  5. 「死ぬ程洒落にならない話投票所」2002年7月28日時点の集計ページ。Internet Archive 保存版. http://web.archive.org/web/20020728031936/http://isweb25.infoseek.co.jp:80/art/jet-web/cgi-bin/kowai/votec.cgi(閲覧 2026-10-06)↩
  6. 「死ぬ程洒落にならない話投票所」停止直前の投票結果ページ(kowai.sub.jp/vote2.htm)。Internet Archive の2004年8月15日保存版. https://web.archive.org/web/20040815064050/http://kowai.sub.jp:80/vote2.htm(閲覧 2026-10-06)↩
  7. 廣田龍平「疑似的な声の非人間的転回試論――ある「怖い話」の発生と流行にみる〈電承〉」『口承文藝研究』41号, 日本口承文芸学会, 2018年, 104–116頁(PDF). https://ko-sho.org/download/k_041/SFNRJ_K_041_10.pdf(閲覧 2026-10-06)↩
  8. 同まとめサイトの洒落怖36・76(2003年5月2日の書き込み)のページ。Internet Archive の2004年1月5日保存版. https://web.archive.org/web/20040105093630/http://kowai.sub.jp:80/36/076.htm(閲覧 2026-10-06)↩
  9. Wikipedia日本語版「猿夢」(出典不足・独自研究の注意書きが付いた記事). https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%8C%BF%E5%A4%A2(閲覧 2026-10-06)↩
  10. Wikipedia日本語版「怪異症候群」. https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%80%AA%E7%95%B0%E7%97%87%E5%80%99%E7%BE%A4(閲覧 2026-10-06)↩
  11. News.Paravi「「やりすぎ都市伝説」がまさかのドラマ化! 恐怖のショートドラマをParaviにて独占配信決定!!」2021年3月15日。Internet Archive 保存版. https://web.archive.org/web/20210412010158/https://news.paravi.jp/20210305_toshidensetsu/(閲覧 2026-10-06)↩
  12. 廣田龍平『ネット怪談の民俗学』(ハヤカワ新書, 2024年)の「まえがき」・目次。早川書房の公式noteで公開. https://www.hayakawabooks.com/n/n4858f08933b3(閲覧 2026-10-06)↩
  13. Wikipedia日本語版「おサル電車」. https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%8A%E3%82%B5%E3%83%AB%E9%9B%BB%E8%BB%8A(閲覧 2026-10-06)↩
  14. Wikipedia日本語版「明晰夢」. https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%98%8E%E6%99%B0%E5%A4%A2(閲覧 2026-10-06)↩
  15. Konkoly, K. R. et al. "Real-time dialogue between experimenters and dreamers during REM sleep." Current Biology 31(7), 2021, 1417–1427(PMC版). https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC8162929/(閲覧 2026-10-06)↩
  16. 時津裕子「インターネット怪談における意味の構造」『日本認知心理学会発表論文集』2020年度, 2021年(J-STAGE 抄録). https://www.jstage.jst.go.jp/article/cogpsy/2020/0/2020_110/_article/-char/ja/(閲覧 2026-10-06)↩

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